2023.09.07
SNS運用
ソーシャルリスニングの基本とやり方・活用事例を徹底解説
ソーシャルリスニングとは、ソーシャルメディアやレビューサイトで発信された情報を収集・分析し、ビジネスに反映させるマーケティング手法です。
インターネット上に蓄積された消費者の本音を集めることで、商品開発やサービス改善、効果的なマーケティング施策の立案など、さまざまなことに役立てられます。
本記事では、ソーシャルリスニングの基本的な概要をはじめ、注目されている理由や期待できる効果、具体的な始め方などについて解説します。
また、実際の活用事例もご紹介するため、ソーシャルリスニングでお悩みの方は、ぜひご参考にしてください。
目次
ソーシャルリスニングとは
ソーシャルリスニングとは、X(Twitter)やInstagramなどのSNSやレビューサイトから、消費者が発信したデータを収集・分析し、マーケティングに役立てる手法です。
インターネット上に発信された情報を集めることで、実際に企業の商品やサービスを利用した、消費者の感想や本音といった貴重なデータをリアルタイムで得ることができます。
これらのデータは、現状を把握できるだけではなく、潜在ニーズの調査や消費者と業界のトレンド予測にも役立てられます。
ソーシャルリスニングが注目されている2つの理由
ソーシャルリスニングが注目されている理由は、主に以下の通りです。
- 顧客ニーズの多様化
- ソーシャルメディアの普及
それぞれについて、詳しく解説します。
顧客ニーズの多様化
個性が尊重され、さまざまな嗜好や意見がある現代において、顧客ニーズはますます多様化しており、これまで以上に消費者に寄り添ったマーケティングが求められています。
顧客ニーズは、これまでもアンケート調査やグループインタビューで収集することが可能でした。
しかし、これらの情報収集は得られる情報に限りがあること、また消費者が企業へ遠慮して本音を引き出しづらいなどの課題を抱えていました。
一方で、ソーシャルリスニングはインターネット上に発信された消費者の自然な意見を収集するため、より「リアルな感想」を取得できます。
リアルな感想を知って、消費者に寄り添ったマーケティングを展開することにより、顧客ニーズを満たす、商品やサービスの提供が可能となります。
ソーシャルメディアの普及
従来、商品やサービスの情報は企業側から発信することがほとんどでしたが、ソーシャルメディア(SNS)の普及により、消費者側も自由に情報を発信できるようになりました。
商品を購入する際にどの程度レビューを参考にするのかを調査した「平成28年度版情報通信白書|総務省」によると、調査対象の20代〜60代の全世代で「かなり参考にする」「まあ参考にする」を合わせると6割強となり、過半数がレビューを参考にしていることがわかりました。
また、年代が低いほど「かなり参考にする」の割合が高く、若い世代ほどレビューを参考にして買い物をしている傾向がうかがえます。
出典:情報通信白書|総務省
この結果から、消費者の声を収集・分析しビジネスに活かすソーシャルリスニングは、現代のマーケティング戦略において欠かせない存在であることがわかります。
ソーシャルリスニングの効果
ソーシャルリスニングを実施することで、具体的にどのような効果があるのか、知りたい方は多いのではないでしょうか。
ソーシャルリスニングで期待できる効果は、主に以下の通りです。
- ブランドイメージを把握できる
- 消費者と業界のトレンドがわかる
- リアルタイムのデータを入手できる
- マーケティング施策の効果がわかる
それぞれについて、詳しく解説します。
ブランドイメージを把握できる
SNS上では、消費者はバイアスのかかっていない素直な意見を発信するため、レビューを確認することで、企業やサービスに対するブランドイメージを正確に把握できます。
ソーシャルリスニングを通じて、ポジティブな評価や批判的なコメント、質問や要望などがリアルタイムで届きます。
これらの情報をもとに、今後のブランディング戦略の方向性やサービス改善の道筋を立てることで、自社が目指すブランドイメージを実現しやすくなります。
消費者と業界のトレンドがわかる
SNSやレビューサイトなどのインターネット上では、消費者の嗜好や意見がリアルタイムで反映されます。
ソーシャルリスニングにより、消費者の好みや関心がどのように変化しているかを把握することで、動向を掴みやすくなります。
また、業界におけるトピックや話題(キーワード)を定期的に検索し、情報を集めることで業界全体のトレンドも把握できます。
消費者や業界のトレンドがわかれば、キャンペーンの実施時期の検討や購買予測などを行いやすくなります。
リアルタイムのデータを入手できる
従来の市場調査やアンケートとは異なり、ソーシャルリスニングはリアルタイムでデータを入手できる利点があります。
消費者の投稿やコメントは即座にインターネット上に表示されるため、必要に応じて迅速な対応や意思決定が可能になります。
例えば、マーケティングやブランディング施策において、自社が目指している方向性と消費者が抱くイメージに乖離がある場合に、素早く改善策を講じることができます。
また、企業やサービスの風評被害に繋がりかねない発信をチェックして、情報が拡散される前に対策を打つことで、リスクが顕在化しないうちに対処することも可能です。
マーケティング施策の効果がわかる
ソーシャルリスニングでは、キャンペーン企画やプロモーション広告などのマーケティング施策の影響をリアルタイムで測定できます。
消費者の反応やエンゲージメントの変化を観察し、どの施策が効果的であったかを明確にすることで、改善策を素早く施策に反映させることが可能です。
一方、期待した効果が得られなかった場合は、原因を特定して次回のマーケティング戦略に活かすこともできます。
ソーシャルリスニングの活用事例3選
ソーシャルリスニングを活用する企業は数多くありますが、成功事例として広く知られている以下3つの例をご紹介していきます。
- パインアメ|誤情報の訂正
- カップヌードル|新商品の開発・発売
- ハーゲンダッツ|プロモーション施策
それぞれについて、詳しく解説します。
パインアメ|誤情報の訂正
「パインアメはもう売っていない」という趣旨のツイートがたくさんリツイートされているようですが、パインアメは今年で71年目。今日も販売を続けております。
デマの拡大につながりますので、信ぴょう性のないツイートはリツイートされませんよう、そして今後も安心してお召し上がりください。 pic.twitter.com/E4kJDxUWgP
— パインアメの【パイン株式会社】🍍 (@pain_ame) June 7, 2022
パインアメを展開するパイン株式会社は、X(Twitter)に投稿された「パインアメが発売終了した」という誤った情報に、いち早く対応し称賛を集めました。
SNSは拡散力に優れており、早急な対応を行わないと風評被害や売上減少などの大きな損害につながる恐れがあります。
このようなリスクを避けるためには、自社製品のキーワード検索を行うなどのソーシャルリスニングを日常的に行うことで、リスクヘッジすることが可能です。
カップヌードル|新商品の開発・発売
日清食品株式会社は、ソーシャルリスニングで得た顧客ニーズをもとに、発売50周年記念「スーパー合体シリーズ」の商品開発を行いました。
マーケティング担当者が「カップヌードルは他の味と混ぜると美味しい」という投稿を発見し、「このような新しい食べ方が流行っているのかも知れない」と仮説を立てました。
さらに調査を進めるにつれて、複数アカウントから同様の投稿がされていることを確認し、そこからカップヌードルの人気商品を組み合わせて、商品開発を進めていきました。
SNSから顧客ニーズを発見することで、新商品開発のアイデアを得られることがわかる事例です。
ハーゲンダッツ|プロモーション施策
ソーシャルリスニングで集めた消費者の声をもとに実施されたプロモーションのひとつが、ハーゲンダッツジャパン株式会社の「幸せのハーゲンハート探し」です。
このプロモーションは、「ハーゲンダッツの蓋を開けたらハート型の窪みがあった」というSNS上の投稿をマーケティング担当者が見つけたことがきっかけでした。
ハーゲンダッツジャパンは2016年のブランドメッセージに「幸せだけで、できている」を掲げていたことも踏まえ、「幸せのハーゲンハート探し」の特設サイトを立ち上げました。
特設サイトを見た消費者がX(Twitter)で発信し、多いものは10万リツイートを超えるなど、大きな反響を呼びました。
ソーシャルリスニングのやり方3つ
実際にソーシャルリスニングを行うには、大きく分けて以下の3つの方法があります。
- サーチボックスからキーワードを検索する
- ソーシャルリスニング分析ツール導入する
- SNS運用代行業者に依頼する
自社内で小規模から始めたい、または大規模に実施したいなど、希望する条件に合わせて適切な方法を検討しましょう。
サーチボックスからキーワードを検索する
1つ目は、各SNSやレビューサイトに設置されているサーチボックス(検索窓)を使ってキーワード検索する方法です。
サーチボックスに企業やサービスに関連するキーワードを入力し、消費者の投稿やコメントを探します。
サーチボックスから検索する方法は、SNSにアカウントを作成するだけで無料で行うことができ、まずは自社内などの小規模かつ低コストで試してみたい場合に適しています。
ソーシャルリスニング分析ツール導入する
専用の分析ツールを導入することで、ソーシャルリスニングをより効率的かつ大規模に行うことができます。
分析ツールは大量のデータを自動的に収集・分析する機能が備わっており、ハッシュタグのトレンド分析や感情分析、競合他社の動向追跡など、高度な情報を得ることが可能です。
ただし、分析ツールにより対応している機能が異なるため、導入を検討している際は自社の状況を踏まえて、まずは相談してみることをおすすめします。
SNS運用代行業者に依頼する
ソーシャルリスニングで収集したデータは、商品開発やサービス改善、効果的なマーケティング施策の立案など、さまざまなことに役立てられます。
一方で、情報の分析には専門的な知識が必要とされるため、豊富な経験を有するSNS運用代行業者に依頼することも、ひとつの選択肢です。
運用代行業者は専門のツールや知識を駆使してSNS上の情報をモニタリングし、企業に有益な情報を提供します。
社内にソーシャルリスニングに関する専門知識を持つ人材がいない場合は、運用代行業者へ依頼することで、効果的なマーケティング活動が行えるようになります。
ソーシャルリスニングの始め方|4ステップ
ソーシャルリスニングを効果的に始めるためには、以下の4つのステップを順に進めていくことが大切です。
- 目的と必要データの明確化
- 調査するメディアを選定する
- キーワード検索を行い情報を集める
- 取得した情報を分析して施策に反映する
それぞれについて、解説します。
1.目的と必要データの明確化
最初に、ソーシャルリスニングを行う目的を明確化することが大切です。
「何を知りたいのか」「どのような情報が必要なのか」を明確にすることで、次のステップのメディア選定やデータ収集がスムーズに進みます。
途中で目的がぶれてしまうと、すべての工程をやり直す必要があるため、無駄な工数を減らすためにも、はじめにしっかりと目的を定めておきましょう。
2.調査するメディアを選定する
目的と必要データが明確化できたら、次に調査の対象となるソーシャルメディアやサイトを選定します。
メディアは「必要な情報を得られるか」「リアルタイムな情報を得られるか」などの観点から選定します。
また、各SNSやレビューサイトはそれぞれ利用者層が異なるため、目的に沿った最適なメディアを選定することで、より的確な情報が得られます。
3.キーワード検索を行い情報を集める
選定したメディアで、ソーシャルリスニングの対象となるキーワードやハッシュタグを使って検索を行います。
関連する投稿やコメント、シェアされたコンテンツを収集することで、消費者の意見や感情、トピックに関する動向を把握することができます。
選定したメディアで十分なデータを得られなかった場合は、再度、関連するキーワードを洗い出し、追加の調査を行いましょう。
4.取得した情報を分析して施策に反映する
最後に、収集した情報を分析し、次回以降のマーケティング施策に改善案を反映させます。
具体的には、ポジティブな反応や改善の余地がある点を整理して、得られたインサイトをもとに、マーケティング戦略の改善案や新たなアイデアの導入を検討します。
事例でも紹介した通り、ソーシャルリスニングはマーケティング活動のみならず、商品やサービス改善にも活かせるため、積極的に取り入れることをおすすめします。
ソーシャルリスニングでよくある質問
最後に、ソーシャルリスニングに関するよくある質問について回答していきます。
おすすめの分析ツールは?
ソーシャルリスニングの代表的な分析ツールとして、次の3つがあげられます。
Social Insight(ソーシャル・インサイト)
Social Insightは、X(Twitter)、Instagram、Facebook、YouTubeなどに対応し、口コミ分析やSNS効果測定、投稿配信をサポートする分析ツールです。
日本発で対応SNSが多く、炎上対策機能も付いています。加えて、SNSのキャンペーンや投稿の運用までカバーできるため、SNS業務全体の効率化を図れます。
buffer(バッファー)
bufferは、75,000以上のユーザーに利用されている世界でもメジャーな分析ツールのひとつです。
投稿スケジューリング機能や分析・レポート機能はもちろん、X(Twitter)やInstagramなどの複数のSNSを1つのツールで管理運用することができることが特徴です。
Later(レイター)
Laterは、Instagram、TikTok、Twitter、Pinterest、Facebook、LinkedInをひとつの画面で管理するソーシャルメディアマネジメントプラットフォームです。
2019年から国内外700万アカウント以上の利用実績を誇るLater(レイター)は、投稿コンテンツの計画、予約公開設定、結果分析をすることで、時間を節約しながら、ビジネスを成長させることができます。
海外ツールですが、ユナイテッドアニマルズ株式会社が、国内導入支援を行っています。
分析ツールを選ぶ際のポイントは?
分析ツールを選ぶ際は、以下の3つのポイントをおさえましょう。
- 導入する際にかかる費用
- 分析対象となるSNSに対応しているか
- 目的を達成するために必要な機能が備わっているか
それぞれについて詳しく解説します。
導入する際にかかる費用
分析ツールは、基本機能だけを備えた無料で利用できるものから、より高度な機能が付いた有料のものまで幅広く存在します。
導入には、初期費用や月額料金などが必要になるため、自社に必要な機能と予算を鑑みて、最適な分析ツールを選定しましょう。
分析対象となるSNSに対応しているか
分析ツールにより対応しているSNSやサイトが異なるため、分析したいプラットフォームを網羅したツールを選びましょう。
必須機能を洗い出しリスト化しておくことで、分析ツールを選定する基準となり、スムーズに選ぶことができます。
目的を達成するために必要な機能が備わっているか
ソーシャルリスニングの分析ツールを導入するきっかけとなった目的を達成できる機能が備わっているか否かは重要なポイントです。
Instagramから売上を伸ばしたいにも関わらず、Instagramに弱い分析ツールを選択しては目的を達成できません。
導入後、必要な機能が足りないなどのトラブルを発生させないためにも、目的に合わせて最適な機能を持つ分析ツールを選びましょう。
まとめ
本記事では、ソーシャルリスニングの基本的な概要をはじめ、注目されている理由や期待できる効果、具体的な始め方などについて解説しました。
顧客ニーズに寄り添ったマーケティングが求められる現代において、SNSから消費者の声を収集・分析できるソーシャルリスニングの重要度は年々増しています。
記事中でご紹介したサーチボックスを利用する方法など、簡単に実践できるソーシャルリスニング手法もあるため、まずは一度試してみてはいかがでしょうか。
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