公開日:2026.01.21
SNSマーケティング
ショートドラマ市場規模はなぜ急拡大したのか?ビジネスモデルの変遷と企業活用事例を徹底分析
近年、SNSで求められるものは「情報発信」から「没入体験」へと変化しています。企業の発信は広告やキャンペーン投稿のようなコンテンツでは差別化が難しくなり、今後ユーザーとの関係性をいかに深められるかがマーケティング成果を左右します。
その中で急速に存在感を高めているのが、TikTokやYouTubeショートを中心に広がりを見せているショートドラマです。一見、ショートドラマはエンタメ感が強く、大手企業や芸能系の施策という印象を持たれがちですが、実際には中堅企業にとっても高いビジネス可能性をもたらします。
本記事では、ショートドラマ市場規模の急拡大に注目し、なぜ今、企業がショートドラマに注目すべきなのかを解説、また実際の活用事例や効果をご紹介します。ショートドラマを企業施策として導入したい方はぜひ参考にしてください。
目次
SNSマーケティングは「情報発信」から「没入体験」へと変化
SNSが広がり始めた当初から現在に至るまで、マーケティングの手法は「いかに情報を届けるか」という発想から、ユーザーが自分事として感じられる体験重視の発想へと進化しています。
単なる広告だけでは成果が出にくくなった
かつてのSNSマーケティングは、ユーザーを惹きつけるような画像やキャッチコピー、そして適切なターゲティングによって一定の成果が期待できました。しかし情報過多の現代において、ユーザーは日常的に多くの情報に触れているため、広告であることを瞬時に見抜き、関心のないものは自然にスルーしてしまいます。
特に、若年層を中心に広告を回避する行動が浸透したことで、従来のプッシュ型の広告手法では本来ブランド認知を高めるはずが、かえってネガティブな印象を与えてしまう可能性が高まっているのです。
共感されるコンテンツが求められるように
こうした背景から、現代のコンテンツにおいては「共感」が重要視されています。SNSにおける共感とは、単に「いいな」と感じることにとどまらず、「自分のことのように感じる」「自分が抱えている悩みを理解してくれている」といった深い納得感です。
このような感情を呼び起こすためには、断片的な情報だけでなく、その背景や文脈を含んだストーリーが不可欠です。ショートドラマでは、短い時間の中で「日常風景」「葛藤」「問題解決」など物語の要素を凝縮して発信できるため、ユーザーは自然とその世界観に引き込まれやすくなります。
広告においても同様に、ストーリーに集中できるショートドラマの没入体験によって、広告に対するネガティブな印象を和らげる効果が期待できます。
短尺動画の台頭により、ショートドラマの市場規模が急拡大
ショートドラマ市場が急速に拡大した背景には、視聴環境の変化やマーケティング手法の進化があります。
TikTok・YouTubeショートの成長
近年、スマートフォンの動画視聴は「横型」から「縦型」へとシフトし、さらに動画の長さも「長尺」から「短尺」へとシフトしています。これにより、ショート動画を配信するプラットフォーム「TikTok」が広がり、YouTubeショートやInstagramのリールが追随したことで、短尺動画はさまざまな国や地域の全年齢層へと浸透しました。
ショートドラマのような縦型ショート動画は、若年層を中心とした「タイパ重視」の価値観を持つユーザーに好まれる傾向にあります。時間を効率的に使って満足感を得たいユーザーにとって最適なコンテンツであることから、日本国内では2023年頃から本格的な広がりを見せました。
TikTokでは、動画投稿数・再生数・いいね数などのデータをもとに、その年で最も流行ったトレンドを決定する企画『TikTokトレンド大賞2024』でショートドラマが特別賞を受賞しています。
参考リンク:縦型ショートドラマとは? 人気が加速する背景と成功戦略・事例を徹底解説 – 株式会社マイナビ│マーケティング・広報ラボ
ショートドラマと一般的なショート動画広告の大きな違い
ショートドラマと一般的なショート動画広告には、目的や構成、重視される演出などに大きな違いがあります。
【一般的なショート動画広告の場合】
・情報を届けることを最優先にする
・トレンドを取り入れた構成などが多い
・音楽やエフェクトを使って世界観を作る
【ショートドラマの場合】
・ストーリーの面白さや没入感を最優先にする
・映画やドラマのように起承転結のある構成
・心理的描写や感情に訴えかける演出を重視する
このような違いから離脱率に差が生まれやすく、結果としてショートドラマが定着していったと考えられます。
エンタメ施策とマーケティング手法の融合
ショートドラマは、エンタメとマーケティングの境界線を曖昧にする手法として有用です。ユーザーが求めているエンタメとしての面白さと、企業が求めるマーケティング上の成果を同時に実現できます。
広告やサービスを全面に押し出した広告的な訴求ではなく、「面白かった」「続きが気になる」といった感情を与えることを優先し、企業やブランドが自然な形で記憶に残る仕組みを構築できます。
関連記事:おすすめのショートドラマ制作会社7選|委託のメリットや選び方のポイントもご紹介
なぜ今、企業はショートドラマに注目しているのか
多くの企業がショートドラマに注目している理由は、単なるトレンドだからではありません。ビジネスにおける明確なメリットがあるからこそ、ショートドラマを導入する企業が増えています。
世界的に市場が拡大傾向にある
ショートドラマ市場は、日本国内だけでなく世界的に拡大傾向です。
中国では2019年から爆発的に人気が拡大し、2024年の中国ショートドラマ市場は500億元(約1兆円)を超えるほどの規模に達しました。
また、アメリカでもショートドラマ専用アプリがアプリストアのランキングで首位を獲得するなど、急速な広がりを見せています。この世界的な市場の成長は、動画視聴の中心がテレビからスマホへ移っていることを示していると考えられます。
今後数年で、さらなる広がりが期待される
市場調査会社YH Researchの調査によると、日本のショートドラマ市場規模も急拡大しており2026年には市場規模が1,500億円を突破すると予測されています。この金額は、日本の年間映画興行収入に近い規模感とも言われており、次世代のエンタメとして受け入れられていく可能性があります。
このように、国内外問わず今後数年でさらなる成長が期待されている点も、多くの企業がショートドラマに注目している理由のひとつです。
参考リンク:YH Research株式会社
広告に依存しない資産型の集客構造が実現
ショートドラマは「資産」として蓄積できる点も、企業にとっての魅力のひとつです。従来の広告は、広告費をかけている間だけ広告が表示されます。一方、自社アカウントで配信するショートドラマの場合、SNSのアルゴリズムによって繰り返しレコメンド(おすすめ表示)される可能性があります。
また、一度高品質なショートドラマを一度制作すれば、広告費をかけずともオーガニック配信によって長期的な効果が期待できます。時代やトレンドの流れから数か月・数年後に再びバズるといったケースも少なくありません。
このようにショートドラマは、継続的に積み上げることで、広告に依存しない持続的な集客の仕組みが実現するコンテンツと言えます。
関連記事:ショートドラマ広告とは?従来の動画広告との違いや活用事例をご紹介
ショートドラマのプラットフォームとビジネスモデル
ショートドラマのプラットフォームとビジネスモデルについて解説します。
ショートドラマ専用アプリが増えている
ショートドラマは、TikTok、YouTubeショート、Instagramリールといった一般的なSNSでも発信できますが、最近ではショートドラマの視聴を目的とした専用アプリも普及し始めています。
【ショートドラマ専用アプリの例】
・BUMP(バンプ):日本初のショートドラマアプリ。1話1分〜3分ほどで構成され、マンガアプリのように「待てば無料」のような仕組みでユーザーを惹きつけている。
・DramaBOX(ドラマボックス):恋愛系ドラマが多く、中毒性のある作品が多数配信。字幕や日本語吹き替えにも対応。
ビジネスモデルは大きく2つに分かれる
ショートドラマのビジネスモデルは、主にアプリ内課金型、タイアップ・スポンサー型に集約されます。
【アプリ内課金型】
専用のプラットフォームやサービスを使って、1話ごとまたはシリーズごとに金額を設定するビジネスモデルです。「1話無料」「最初の〇話まで無料」などのサービスを実施し、途中から課金を促す形が定着しています。アプリ内課金型の場合、視聴回数がそのまま収益につながります。
【タイアップ・スポンサー型】
ショートドラマの制作費は企業が負担し、ストーリーの中に自然な形で自社商品やサービスを組み込みます。多くの企業が活用している方法です。アプリ内課金型とは異なり、直接的な収益は発生しません。しかし、商品・ブランドの認知拡大、売上向上などが狙えます。
関連記事:SNSでショートドラマがバズり中!参考にしたい活用事例13選をご紹介
実際のショートドラマ活用事例
最後に、企業のショートドラマ活用事例をご紹介します。「どのように活用されているのか分からない」「実際の効果が知りたい」という場合はぜひ参考にしてください。
赤坂 松葉屋×イロコイと猫:心が温まるドラマに適した商品を取り入れる
高級老舗店「赤坂 松葉屋」とショートドラマ配信アカウント「イロコイと猫」のショートドラマシリーズ『お茶漬けジュレ』。親子愛をテーマに、松葉屋の人気商品をキーアイテムとして物語に登場させています。
仕事に追われる娘に、両親からクリスマスプレゼントとしてお茶漬けジュレが贈られるという何気ない親子のストーリーは、多くの人々の共感を誘う内容です。大切な人への贈り物として商品を自然に織り交ぜることで、ユーザーはドラマの展開に心を動かされながらも、「お茶漬けジュレはギフトにぴったり」「素敵な贈り物」といったブランドイメージを抱きます。
直接的な商品訴求を控えることで、「気になる」「食べたくなった」といった商品に対する感想コメントがくるなど、自然な形で認知を広げることに成功しました。
TopShort:自社アプリで配信中のドラマを一部公開
ショートドラマ専用アプリ「TopShort」は、TikTokを活用してプラットフォームを越えた集客に成功しています。具体的には、自社アプリで配信しているドラマシリーズの一部を切り抜き、TikTokアカウントで公開する戦略です。
盛り上がるシーンや人気作品の一部を見せ、続きが気になるところで終わるように構成されており、ユーザーの関心を強く惹きつけます。この手法によってTikTokからアプリストアへの遷移が期待でき、また低コストで熱量の高い新規ユーザーを獲得することが可能です。
ショートドラマ自体を予告かつ広告として活用し、広告費を最小限に抑えながら自社プラットフォームへの集客が成功しています。
アコム:泣けるショートドラマで感情に訴えかける
大手消費者金融会社「アコム」のTikTokアカウントでは、泣けるショートドラマを多数配信しています。「人に寄り添う」「支えになる」といった企業の想いをさまざまな感動系ストーリーに込めて伝える手法です。
動画では、「アコム」というサービス名がほとんど登場しません。ロゴやメッセージが静かに表示されるだけにとどめており、ユーザーの感情を動かすことに注力している点がポイントです。この「共感」を重要視した形によって、ユーザーはコンテンツとして楽しめ、結果としてユーザーとの信頼関係を構築することにつながります。
実際にコメント欄には多くの好意的なコメントが続出しており、ブランドに対する親近感・信頼感が向上したと言えます。金融サービスにありがちな「堅苦しい」「少し怖い」といったイメージを払拭し、ショートドラマのストーリーから人々に寄り添う姿勢を伝えることは、将来的な潜在顧客の獲得にも効果的です。
まとめ
ショートドラマ市場の急拡大は、一時的なトレンドによるものではなく、スマートフォンの普及とユーザーの視聴行動の変化に基づいた必然的な流れです。
このタイミングでショートドラマの導入を検討する企業が増えている一方で、これほど大規模な市場成長を目の当たりにすると、「自社にはリソースが足りない」「制作には多くの知見が必要なのではないか」と感じ、導入に踏み切れないケースも少なくありません。
そうした場合は、まずTikTokやYouTubeショートを活用したスモールスタートから始めることをおすすめします。たとえば、日常の何気ない一コマを1分程度のドラマ仕立てにして投稿してみるなど、低予算からでも始めることが可能です。
株式会社ユナイテッドアニマルズでは、ショートドラマ制作代行サービス「DUMERO(デュメロ)」を展開しています。企画のご提案からキャスティング、制作、投稿や分析までを一貫してサポートできる体制を整えています。新たな企業施策としてショートドラマの導入を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。
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また所属インフルエンサーによるプライベートブランドの開発、クライアント企業とのタイアップ商品開発、販売も行っています。
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