公開日:2026.10.26
インフルエンサーマーケティング
【企業向け】界隈マーケティングとは?SNSで熱量の高い層に届ける進め方と注意点

「フォロワー数の多いインフルエンサーを起用しても、以前ほど反応が伸びない」そう感じているマーケティング担当者も少なくありません。こうした状況を背景に、年齢や性別といった属性ではなく、共通の関心でゆるやかにつながる「界隈」を起点としたマーケティングが注目されています。
本記事では、界隈マーケティングがファンマーケティングやコミュニティマーケティングとどう違うのかを整理します。そのうえで、自社の商材に合う界隈の見つけ方、企業が関わる際の注意点、施策後の効果の見極め方までを解説します。
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界隈マーケティングとは

界隈マーケティングとは、SNS上で共通の関心を軸に自然とできた集団(界隈)を見つけ、界隈ごとの文脈に沿って企業が関わるマーケティング手法です。ターゲットを年齢や性別だけで分類するのではなく、生活者の「好き」や関心を起点にアプローチする点に特徴があります。
まず、言葉の意味や、似た手法との違いについて解説します。
界隈マーケティングが指す具体的な範囲
「界隈」とは、共通の「好き」や関心を軸にSNS上で自然とつながった、ゆるやかな集団を指しています。対象となるテーマや規模は幅広く、推し活やファッションにとどまらず、趣味や職業を軸にしたものまで含まれるのが特徴です。「K-POP界隈」や「スタートアップ界隈」のように、ジャンルや業界を冠した呼び名も使われています。

出典:博報堂、SHIBUYA109 lab.「Future Evangelist Report vol.3 界隈消費」
具体的には、界隈マーケティングは、企業が自社に合う界隈を見つけ、共有されている文脈を学び、盛り上がりに関わり、広がりを確かめるまでの一連の取り組みを指す言葉です。
ファンマーケティング・コミュニティマーケティングとの違い
界隈マーケティングの特徴は、企業が場や関係を用意するのではなく、すでにSNS上にある集団へ関わる点で、ほかの2つの手法と異なります。
ファンマーケティングは、自社のブランドや商品を軸にファンを増やし、関係を深める手法です。コミュニティマーケティングは、企業が会員向けの場やイベントなどを用意し、参加者同士や企業とのつながりを育てる手法を指します。一方、界隈は生活者がSNS上で自発的につくる集団であり、企業が運営するものではないことが一般的です。
関連記事:SNSのファンマーケティングガイド:基礎知識から具体的な事例まで解説
界隈マーケティングが注目される背景

界隈マーケティングが注目される背景には、SNSを取り巻く情報環境の変化と、生活者の関心の細分化があります。属性だけで生活者を捉える難しさと、界隈という単位が見えるようになった経緯が要点です。
属性ターゲティングだけでは生活者に届きにくくなっている
年齢や性別といった属性の区分だけでは、生活者が日常的に目にしている情報の違いを捉えきれない場面があります。背景として大きいのは、SNSのアルゴリズムの発達によって、見聞きする情報の多くが自身の興味に沿った内容やフォロー先の周辺情報になった点です。
今後は生活者の嗜好がより細分化し、接点づくりがますます難しくなるとの指摘があります。2024年に実施された10〜50代の男女1,000人への調査では、大きな界隈よりも人数の絞られた小さな界隈が望ましいとの回答が74.1%に上りました。

出典:博報堂、SHIBUYA109 lab.「Future Evangelist Report vol.3 界隈消費」
このように、小さな集団ごとに情報が共有される環境では、幅広い層へ一律に届ける発信だけでは、接点をつくりにくい場合があります。
SNSの情報環境の変化で「界隈」という単位が可視化されるようになった
「界隈」は、2024年のユーキャン新語・流行語大賞でトップ10に選ばれるほど、広く知られる言葉になりました。界隈での情報収集や発信が広がった背景には、SNSでのつながりが当たり前になったことに加え、2020年代のコロナ禍で個人でのコンテンツ消費が一般化したことがあるとされています。
出典:自由国民社「『現代用語の基礎知識』選 T&D保険グループ 新語・流行語大賞」
2024年6月に実施された調査では、界隈という言葉を知っていた10代は、女性が80.6%、男性が68.9%でした。30〜40代の男女でも、3〜5割が言葉を知っていたという結果が出ています。

出典:博報堂、SHIBUYA109 lab.「Future Evangelist Report vol.3 界隈消費」
調査では、興味を持つ層のうち界隈が形成されやすいジャンルとして、美容、ファッション、投資・株、アイドル、YouTuberなどが上位に挙がりました。共通点は、トレンドの流れが速く、情報の鮮度が重要なカテゴリである点です。情報の流れが速いジャンルほど、共通の関心でつながる界隈が生まれやすいことがうかがえます。
自社の商材に合う界隈を見つける方法

自社の商材に合う界隈は、SNS上の投稿を調べる方法と、自社の顧客や競合の動きから逆算する方法を組み合わせて探します。
SNS上のハッシュタグ・投稿傾向の分析
自社の商材に関連するキーワードやハッシュタグを手がかりに、SNS上の投稿を分析する方法です。商品名やカテゴリ名で検索し、表示された投稿に共通する言葉、ハッシュタグ、写真や動画の雰囲気を書き出すと、どのような関心でつながる人たちが話題にしているのかが見えてきます。
界隈内で実際に反応を集めている投稿を抽出してグルーピングすると、界隈ごとに何へ共感が集まっているのかを整理できます。同じ商材でも、界隈によって注目される使い方や魅力は異なるため、界隈の候補は、最初から1つに絞る必要はありません。
既存顧客・フォロワーの興味関心の把握
自社がすでに持っている顧客との接点も、界隈を探す手がかりの一つです。自社アカウントのフォロワーや、購入者から寄せられたコメントやレビューを確認すると、共通して使われている言葉や、商品を選んだ理由、使う場面が見えてきます。
また、各SNSの分析機能で確認できるフォロワーの属性や、反応が集まった投稿のテーマも、手がかりになります。自社が想定していなかった使い方や、意外な層での支持の有無が見るべきポイントです。
競合や類似カテゴリの商材が浸透している界隈のリサーチ
競合ブランドや類似カテゴリの商材が、どの界隈で話題になっているかを調べることも手段の一つです。競合の公式アカウントに寄せられたコメントや、競合の商品名を含む投稿を確認すると、支持されている使い方や、話題の起点となっている界隈を把握できます。
たとえば、ある日用品が本来の用途とは別の趣味の界隈で独自に使われている場合は、界隈の文脈に沿った訴求を検討する余地があるかもしれません。競合の施策をまねることではなく、自社が関われる余地のある界隈を探すことが、調査の目的です。
インフルエンサーやクリエイターの投稿から界隈を逆引きする
界隈の中で支持を集めているインフルエンサーやクリエイターの投稿から、界隈の輪郭をたどる方法もあります。自社の商材と相性のよさそうな発信者を数人選び、発信者の投稿にコメントしている人や、頻繁に言及している人、使われているハッシュタグをたどります。
発信者の周辺には、同じ関心を持つアカウントが集まっている場合があり、界隈の範囲や、共有されている言葉づかいを把握しやすくなります。
関連記事:インフルエンサーとアンバサダーの違いは?メリット・デメリットや成功事例、選び方を解説
企業が界隈マーケティングに取り組む際の注意点

企業が界隈マーケティングに取り組む際は、界隈特有の文脈への理解と、施策の効果を適切に評価する視点が重要です。ここでは、起こり得る問題と、具体的な対策を解説します。
界隈特有の文脈やルールを理解しないまま発信するリスク
界隈ごとに、共有されている言葉づかいや話題の扱い方、コミュニケーション上の暗黙のルールが存在するのが特徴です。文脈を読み違えたまま企業が発信すると、界隈の参加者に違和感を持たれる可能性があります。
投稿を出す前に、対象の界隈で反応の多い投稿や頻出する言葉、避けられている表現を一定期間観察し、社内で共有しておくことが大切です。
フォロワー数とエンゲージメント率は比例するとは限らない
フォロワー数が多くても、反応の割合を示すエンゲージメント率が高いとは限りません。発信者を選ぶ際に、フォロワー数だけを基準にすると、期待した反応が得られない場合があります。フォロワー数は発信が届き得る範囲の目安であり、エンゲージメント率は、いいねやコメントなどの反応が、フォロワー数やリーチ数に対してどの程度あるかを示す指標です。一般に、フォロワー数が増えるほど企業が支払う費用は上がる一方、宣伝効果が同じ比率で高まるとは限りません。
選定の際は、フォロワー数に加えて、過去の投稿に寄せられたコメントの中身や保存数、界隈内のほかの発信者から言及されているかを確認します。反応の数だけでなく、反応の質まで見ることが重要です。
界隈マーケティング施策の効果を見極める方法

最後に、界隈マーケティングの効果を見極めるには、フォロワー数や再生数だけでなく、界隈の中での受け止められ方と、界隈の外への広がりで確認することが必要です。
界隈内の反応(保存・コメント・言及内容)
界隈内の反応は、件数だけでなく、その内容や質を確認することが重要です。保存数は、投稿を後で見返したい、購入を検討したいといった関心の度合いを測る手がかりになります。コメントについては、件数だけでなく、共感・使い方に関する質問・改善要望など、内容を分類して分析しましょう。
言及は、企業が依頼していない投稿の中で、自社の商品名やハッシュタグがどのように使われているかを確認します。界隈の発信者が自発的に自社の商材を取り上げ、界隈で通じる言葉で語っているかどうかが、受け入れられ方を測る材料です。ただし、反応の多さが購入に直結するとは限らないため、サイトへの流入数や購入数など、事業成果の指標と併せて確認します。
話題の界隈外への広がり
もう一つの確認ポイントは、話題が最初の界隈の外へ広がっているかどうかです。ある界隈で流行したものが、近い関心を持つ別の界隈にも伝わる動きが、広がりを測る目安です。
たとえば、当初ストリート系の界隈で流行していたアームカバーが、フレンチガーリーなど、ほかのファッション系の界隈にも波及しました。


出典:博報堂、SHIBUYA109 lab.「Future Evangelist Report vol.3 界隈消費」
近い関心を持つ界隈の間で共感が広がれば、新しい消費トレンドが生まれるとされています。自社の商品名やハッシュタグへの言及が、当初の界隈とは別の関心を持つ層からも見られれば、広がりの兆しと捉えられます。
まとめ

本記事では、界隈マーケティングの意味と注目される背景、界隈の見つけ方、注意点、効果の見極め方を解説しました。
界隈マーケティングは、生活者を属性ではなく共通の関心で捉え、すでにSNS上にある界隈へ企業が関わっていく取り組みです。ファンマーケティングやコミュニティマーケティングとは、起点と企業の立ち位置が異なります。進め方の基本は、自社の商材に合う界隈を見つけ、文脈を学び、関わり、広がりを確かめる流れです。
ただし、自社に合う界隈の見極めや関わり方の設計は、社内だけでは判断が難しい場合もあります。界隈の文脈を踏まえた判断に第三者の視点を取り入れたいときは、株式会社ユナイテッドアニマルズの「無料戦略診断」の活用がおすすめです。現在のSNS運用状況をもとに、界隈マーケティングを含めたSNS活用の方向性を専門スタッフと整理できます。ぜひご活用ください。
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