2023.12.05
SNSマーケティング
共感マーケティングとは?SNSによるファン化のコツと成功事例
共感マーケティングとは、ユーザーから共感してもらえるしくみを作り出し、ファン化や認知拡大を狙うマーケティング手法です。
既存顧客をファン化させることで、企業は安定した売り上げ基盤を築くだけでなく、ファンからの発信により新規顧客の獲得も期待できます。
本記事では、共感マーケティング実施の参考になる成功事例を4つ厳選し、それぞれの内容や特徴について紹介していきます。さらに、具体的な始め方やファンを獲得するコツも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
共感マーケティングとは
共感マーケティングは、ユーザーから共感してもらえる情報発信や取り組みを実施することで、ブランド力の向上と売り上げ増加を狙うマーケティング手法です。
技術の進化により、市場には多くの類似商品やサービスがあふれています。さまざまな企業が広告を配信しており、ユーザーは「どの商品がいいか選べない」「情報が本当か信用できない」という状況です。
その結果、現代のユーザーは「自身の価値観に合っているか」を基準に商品を購入する傾向が強まっています。商品のスペックだけではなく、ブランドの背景にあるストーリーや独自の価値観に共感できるかを重視しています。
SNSの利用が広まったことで、ブランドや商品のことを深く知ってもらえる場が増えたことはチャンスとも捉えられます。共感マーケティングをうまく実施できるかが、今後ユーザーに選ばれ続けるための鍵となるでしょう。
共感マーケティングで期待できる効果
共感マーケティングは成功すれば、さまざまな効果が期待できます。
代表的な5つの効果について、詳しく解説します。
新規顧客の獲得
共感マーケティングで熱量の高いファンを増やすことができれば、新規顧客の獲得につながります。
共感マーケティングによりファンになった顧客は単なる優良顧客とは違い、その企業やブランドの独自の価値観に共感し周囲にも紹介してくれる、伝道師的な役割を果たしてくれます。
ユーザーは知らない企業からの情報よりも、身近な人からの情報を信頼し、熱量の高いファンが周囲に情報を拡散してくれることで、新規顧客の獲得にもつながります。
ブランド認知度を拡大
ブランドのコンセプトや取り組みにユーザーの共感を得ることができれば、効率的にブランドの認知を拡大できます。
ユーザーは共感すると「友人にも共有したい」「同じ気持ちを多くの人と分かち合いたい」という感情が生まれ、SNSや口コミで拡散します。このような拡散には「いいね」などの承認を得たい「承認欲」や、他者に貢献したい「貢献欲」が働いています。
SNSは個人が発信者となり、複数のフォロワーが情報を受け取り、共感したフォロワーが自身のフォロワーに情報を拡散するという連鎖構造になっています。
たとえば、X(Twitter)で多くのリポストが行われれば、フォロワーを通じて情報が拡散し、今までリーチできなかったユーザーにも認知を広げられます。ユーザーのリアルな声は、他のユーザーの心に伝わりやすいというのも特徴です。
共感を得ることができれば、テレビCMなど高額な媒体を使わず、低コストでブランドの認知を拡大できます。
ユーザーとの信頼関係を構築
共感マーケティングが成功すれば、ユーザーとの信頼関係を築くことができます。
人は共感できる点があると、親近感や信頼感などプラスの感情をいだく傾向があります。
「寄り添ってくれている」「自分のことをわかってくれている」という安心感や信頼関係を構築できれば、ユーザーは長期的なファンになってくれる可能性があります。
顧客ロイヤリティ向上
共感マーケティングでは、ユーザーの感情を揺さぶる施策のため、熱量の高い顧客を獲得できます。
企業やブランドに信頼や愛着を抱いた熱量の高いユーザーは、競合に流れることなく、他者に商品やサービスを紹介してくれるロイヤリティの高い顧客になります。
共感を生み出すことで顧客ロイヤリティが向上し、売り上げ向上の効果も期待できるでしょう。
良質なフィードバックを獲得
共感マーケティングを行うことで、良質なフィードバックを獲得し、商品の改善や新たな施策に利用できるというメリットがあります。
ユーザーは、企業側が気付かない細かい不満を持っていたり、使っている商品の改善点に気付くことがあります。口コミやSNSの投稿には、その商品に満足できなかったポイントなどが具体的に書かれている場合があります。
得られたフィードバックを参考に商品改良を行えば、ユーザーの信頼をさらに得たり、商品の売り上げ向上につながります。
共感マーケティングは、企業からの一方的な情報発信ではなく、熱心なユーザーが情報を発信するという特徴があるため、質の高いフィードバックを得ることができます。
共感マーケティングの成功事例4選
共感マーケティングを実際に行っている企業の成功事例を紹介します。
YouTubeやX(Twitter)、Instagram、クラウドファンディングそれぞれの事例を紹介しますので、自社ではどの媒体を利用するのかも含めて参考にしてください。
ヤマハ株式会社|YouTube
ヤマハ株式会社は、公式YouTubeアカウントでさまざまな動画コンテンツを発信しています。
企業紹介や想いを伝えるストーリー動画、有名人が音楽への想いを語るインタビュー動画など、企業への理解が深まりファン化につながる動画コンテンツを発信しています。
さらに、ヤマハ株式会社が販売する楽器の使い方動画も発信し、ユーザーの満足度向上にもつなげています。動画を利用した共感マーケティングを行う際には、ぜひ参考にしたい事例です。
シャープ株式会社|X
ChatGPTによる回答をロボホンらしい言葉遣いで返答する、ロボホン用対話アプリケーションを提供開始しました。 https://t.co/WHYSNf6AZU
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) November 30, 2023
シャープ株式会社の公式Xアカウントは、企業のXアカウントのパイオニア的存在として有名です。2020年にはジャパン・デジタル・コミュニケーション・アワードでエンゲージメント賞を受賞しています。
自社製品の宣伝だけでなく、世の中で話題になっていることに対する考えや思いなどを投稿しているのが特徴的です。また、フォロワーの投稿をリポストするなど積極的にユーザーとコミュニケーションを取っています。「企業とフォロワー」という関係ではなく、「中の人とフォロワー」という関係を作り親近感を持たせています。
宣伝色を出しすぎないXの運用スタイルは、参考にしたいポイントです。
出典元:シャープ株式会社公式Xアカウント
ユニ・チャーム株式会社|Instagram
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ユニ・チャーム株式会社は、Instagramで「マミーポコパンツ」のブランドアカウントを運用しています。
商品紹介だけでなく、子育てに対するアドバイスやアイデアの募集を行ったりすることで、ユーザーとコミュニケーションを取っています。その結果、ユーザー同士のコミュニケーションも活発に行われています。
ブランドとファン・ファン同士がつながる場を提供しているところが特徴です。
株式会社MAPPA|クラウドファンディング
アニメーション制作会社の株式会社MAPPAは、「この世界の片隅に」という作品の劇場版アニメ化を目的にした、クラウドファンディングを行いました。
クラウドファンディングのページには、制作者の想いや、制作過程などの情報を掲載し、ユーザーの共感を獲得しました。
クラウドファウンディングのリターンには「制作支援メンバーミーティングの参加権利」が提供されました。参加者は一般のマスコミよりも早く作品の進捗状況を知ることができ、作品に対する愛着が深まるしくみです。
制作支援メンバーミーティングで得た情報は、SNSなどで拡散され、新規ユーザーの獲得にもつながったファンの熱量をうまく利用した事例です。
出典元:クラウドファンディングサービス「Makuake」のプレスリリース
共感マーケティングを行う際の注意点
共感マーケティングを行う際には、以下の2点に注意が必要です。
誤解させる表現は行わない
共感を狙うあまり、強すぎる表現や大げさな表現でユーザーの誤解を招かないよう注意が必要です。
「絶対に◯◯する」などの根拠のない断定表現は、「景品表示法」や「薬機法」などの法律に抵触する可能性があります。
ブランドや商品を魅力的に紹介することは大切ですが、誤解を与える表現を使用すると、世間や関係者・ユーザーに迷惑をかけてしまいます。誤解を生む表現は避け、事実を伝えるようにしましょう。
ファンの育成は時間がかかる
共感マーケティングにおいて、ファンを育成するプロセスは時間を要します。
共感を得ることができるような独自の世界観を作り出すには、時間をかけて試行錯誤する必要があります。ユーザーが企業や商品への理解を十分に深め、愛着を感じるようになるまでにもある程度時間が必要です。
一時的にファンになるユーザーがいても、リピートを繰り返すロイヤリティの高いファンになるまでには何度もコミュニケーションを取る必要があります。
長期的なファンが定着しなければ、売り上げも安定しないため、成果が出るまでにはある程度時間がかかることは認識しておきましょう。
共感マーケティングを始める4ステップ
共感マーケティングを始める具体的な流れを、4つのステップで紹介します。
1.ペルソナとニーズの設定
共感マーケティングを実施するためには、ターゲットとなるユーザーの「ペルソナ」と「ニーズ」を設定する必要があります。
まずは、ターゲットを絞り込みましょう。一般的な「20代男性」などのような大きな括りではなく、「ペルソナ」を設定します。ペルソナは「サービス・商品の典型的なユーザー像」を指します。
ペルソナの粒度はさまざまですが、年齢・性別といったデモグラフィック属性から、趣味や志向などの情報まで細かく設定するのがよいです。
ペルソナを設定したら、そのユーザーのニーズを分析します。詳細なペルソナを設定すると、ユーザーのニーズを理解しやすく、より強い共感を得やすくなります。
2.共感ポイントを洗い出す
次に、自社の強みや独自性を明確にして、ペルソナが共感できるポイントを洗い出します。
自社や商品のセールスポイントを明確にし、共感してもらえそうなポイントはどこかを捉えることが必要です。一方的に自社のアピールをしても共感は得られません。
共感を生み出すためには、まずユーザーに共感する必要があります。そのためにもペルソナを設定しユーザーをよく知ることが重要です。
共感ポイントがどこかを洗い出すためには、ペルソナが抱えている問題や悩みの分析から始めます。ユーザーは自身の抱えている問題や悩みを理解してくれていると感じると、感情を揺さぶられます。
共感ポイントを見つけるのが難しい場合は、ユーザーインタビューを行ってみるのもよいでしょう。共感ポイントを洗い出せれば、発信する内容が明確になります。
3.ストーリーを継続して発信
ストーリーとはそのブランド独自の理念や志・こだわりやゆずれない想いなどを指し、一貫したストーリーを継続して発信することが大切です。
共感マーケティングを実施しても、すぐにユーザーの共感を得ることは難しく、最初は「商品を売るために発信している」とネガティブに捉えられることもあります。ネガティブなイメージをなくすためには、ユーザーからの信頼を得ることが必要です。
信頼を得るには、発信する世界観に一貫性を持たせることが大切です。せっかくユーザーの共感を得られるストーリーを投稿したのに、つぎの投稿が「歳末大売り出し」といった内容では、ユーザーの気持ちが離れてしまいます。
商品のスペックに差がなくても、それが生み出された背景に独自のストーリーがあると、共感した人がファンとなってくれます。
継続して一貫性のある独自のストーリーを発信することが大切です。
4.UGCが生まれるしくみを作る
共感してくれるファンが集まったあと、最後に必要なのは、UGCを生み出すしくみを構築することです。UGC(User Generated Contents)とは、ユーザー生成コンテンツを意味し、具体的にはユーザーのSNS投稿や口コミなどを指します。
共感マーケティングにおいてUGCは重要ですが、商品がよければ勝手にUGCが増えるという都合のよいものではありません。初期の段階では、口コミ投稿や投稿のシェアキャンペーンを実施するなど、UGCを生み出す戦略を練る必要があります。
中長期的には企業が働きかけなくてもユーザー自らUGCを投稿してもらえるしくみを作ることが大切です。
関連記事:UGCマーケティングとは?メリットとキャンペーン成功事例4選
SNSを利用した共感マーケティングでファンを獲得するコツ
SNSを利用した共感マーケティングでファンを獲得するための3つのコツを紹介します。
これらのコツを取り入れることで、効率的にファンを獲得できます。
ユーザーに有益な情報を発信する
最近SNSで話題になる投稿の特徴は「有益な情報」です。あからさまに「商売感」が漂うSNS投稿は、逆効果になる可能性があります。SNSはあくまでユーザーにファンになってもらう場と考えましょう。
有益な情報は、後で見返すために「いいね」や「保存」をしたり、周囲に広めたくなり「リポスト」や「シェア」されます。広くファンを獲得するためには、ユーザーにとって有益な情報を発信することが有効的です。
親密にコミュニケーションを取る
ユーザーと親密にコミュニケーションを取ることも大切です。
知らない企業や人にいきなり「商品を買ってください」といわれても、ユーザーは警戒してしまいます。まずはユーザーと親密になり、信頼してもらうことが大切です。
ブランドのストーリーを語ったり、直接コミュニケーションを取って、少しずつ親密度を高めていきましょう。
ユーザー同士が交流できる場を提供する
企業とユーザーだけでなく、ユーザー同士の交流の場を提供するのも成功の秘訣です。
オンラインコミュニティを運営したり、リアルなイベントを開催するのも効果的です。
リアルなコミュニケーションの場は、オンラインコミュニティよりも強固なつながりが生まれ、ファンの熱量も高まります。
ユーザー同士の交流の場があれば、ファンが知り合いを連れて来て、新規ユーザーを獲得できる可能性もあります。
まとめ
共感マーケティングの概要をはじめ、期待できる効果や具体的な成功事例、始め方のステップなどについて解説しました。
共感マーケティングをうまく実施することで、ブランドや商品・サービスの認知拡大やUGCの獲得ができ、最終的には売り上げ向上につながります。
共感マーケティングを実施するには、入念な事前準備と継続的な発信が必要です。継続的な発信を行える社内のリソースがないという場合には、SNS運用代行業者を利用するという手段もあります。
本記事で解説した、共感マーケティングを始めるステップを参考に、自社でどのような情報を発信できるか考えることから始めてみましょう。
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